飯倉章「1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか ドイツ・システムの強さと脆さ」(文春新書)
この本、とっても興味深かった。
去年、ベストセラー「応仁の乱」にて。筆者が応仁の乱のグダグダ具合を第一次世界大戦に例えていてて。じゃ、その第一次世界大戦はどんだけグダグダだったのか本書を読んでいたら。本書はドイツ側に立って検証してるんだけど、結論から言えばあの頃のドイツに生まれてなくていがったぁ♪県南地方の方は読んでください!としか言いようがない。
1914年当時のドイツのトップ、
皇帝 ヴィルヘルム2世
宰相 ベートマン
→だったんだけど、これ普仏戦争時のゴールデン・トライアングルである
皇帝 ヴィルヘルム1世
宰相 ビスマルク
→に比べて、各人が資質が足りないうえ。初動で躓いて、局地の紛争でおさまるべきトコが最終的には5年にも及ぶ世界大戦になる辺りがグダグダだった。
→魚は頭から腐るってヤツか。
しかもモルトケ(小)が激務からか脳卒中で表舞台を去ってから、後を継いだルーデンドルフ&ヒンデンブルグが軍の偉い人になったのがヒデぇ。本来なら、鬼軍曹で終わってればよかった人がトップに立ったせいで勝てる戦に負け、負けから学ばずまた負けて、いつも最前線に負担を強いてばかりなのにさらに負担を無理強いして。最終的には、講和に持ち込むタイミングまで何度も逸して祖国に悲惨な結末をもたらしてしまうトコがひでぇ。
特に最終年1918年春、西部戦線で大攻勢をかけるも。最前線でもこの大作戦が成功すれば戦争が終わると思って頑張ったのに芳しくない結果になり、結果的に軍部全体に失望感が漂ってしまい、たぶん1970年代のアメリカみたいな嫌戦ムードが高まって。結局、講和を受け入れた段階でドイツ帝国が崩壊。その後もグダグダした展開を繰り返しつつ、結局ナチスの台頭を許すのであった。
それにしても、だ。
明治維新以来、日本は当時の新興国であったプロイセンをお手本にしてた筈なのに。ドイツの失敗、ちっとも学習しないばかりか。まんまと同じ轍を踏んで、第二次世界大戦で負けたんだなと実感。
・兵員の命を平気で使い捨てる。
・敵を無駄に増やしてしまう。
・講和のタイミングを逸してしまう。
→21世紀のこの期に及んでも、同じ轍を踏まないことを真に願う。
特に本書を読んでてビビったのが、当時のドイツはトップが重要な判断を下してたから、トップ勢は心労でみんな病んでて。でも病んでるのに休んだり辞めない奴(=ルーデンドルフ)がトップの座を固守するせいで、ますます貴重な人命が奪われてしまうのが絶望しかない。このルデカスが!
笑えねえな、コレ。
具体的には、上が無理筋を通して来た頃にはだいたい滅びの道を歩み始めてることがよーくわかった。用心しよう。
したっけね。

1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか ドイツ・システムの強さと脆さ (文春新書)
- 作者: 飯倉章
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/12/20
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