出陣の賦

九州豪雨が一日も早く復興しますように

海辺の生と死

島尾敏雄氏の日本文壇史上に輝く傑作「死の棘」ep.0というべき。もしくは、同氏の「魚雷艇学生」アナザーストーリーというべき「海辺の生と死」。ここまで御託並べても理解できない方に、親切設計して説明すると。太平洋戦争末期、沖縄戦が迫る頃奄美に特攻隊隊長として赴任した島尾氏が後に妻となる地元の娘ミホ(本作ではノエ、当時国民学校教員)に出会う物語なんだけど。

 

この映画、専業の役者は5名のみ。あとは地元のエキストラで成り立ってたが、その5名のうち4名が朝ドラ出演歴ありとは。前から気づいてた「最近のテレビドラマ・映画のキャストって朝ドラ出演者ばかりじゃないですかーッ」現象の範疇であった。

 

満島ひかり(「おひさま」ヒロインの親友役)

永山絢斗(「べっぴんさん」ヒロインの夫役)

井之脇海(「ひよっこ」寮長の恋人役)

津嘉山正種(「梅ちゃん先生」患者役)

→このデンでいくと、残る1名の鬼軍曹(少尉だけど)こと川瀬陽太氏も後々朝ドラに出るかもと言っておく。川瀬氏は「シン・ゴジラ」出演、同作からは既に「まずは君が落ち着け」氏こと松尾諭が「ひよっこ」に出演してる。あると思うんですが...。

 

仮にも当時のことを書いていた島尾氏の「島の果て」読んでて大体の事は知ってたつもりだったのに、本作みて驚いた。

★昭和20年の奄美、こんなにユルかったのか...。

・ヒロイン・代用教員であるトエが

竹槍訓練するシーンなし

・ヒロイン・トエ、戦時中なのに花柄ワンピやノースリーブ着用。

・特攻隊長として赴任したはずの朔中尉(モデル・島尾氏)も優しい性格が地元の子どもたちにバレてしまう。

・というわけで、自然と恋仲になった朔中尉とトエが夜な夜な密会を重ねるんだが。人目を忍ぶべく「海の道」通ったりトエが体張ってるんだけど、奄美大自然にすっかりかき消されてしまう。

・昭和20年8月。沖縄陥落、広島に

新型爆弾、最前線となった奄美にも米軍機が来襲して機銃掃射するようになっても依然として、学校が夏休みだった奄美

→一応言っておくと、朔中尉の特攻命令が近かった筈なんですが。

→むしろ、そんなユルい奄美だからこそ。朔中尉とトエの死の覚悟がジワジワ滲み出てたんだよな。

 

何度も言うけど、行ったことないけど。

きっと、奄美には決死の覚悟で行った人間をユルくさせる何かがあるはず。その具体例が西郷隆盛だと思う、来年の大河ドラマ「西郷どん」でも出てくるはずと思うんですが。

 

なぜ、奄美はユルいのか?「島時間」なのか?

それはおそらく、現地で重ねられていた歴史が島唄として語り継がれてたからと思う。本作で披露される奄美島唄、民謡というよりブルースに近い響きだった。苦かった。

 

うん、結論にも届かないんだけど。

県南地方の方は観てください!

したっけね。

 

海辺の生と死 (中公文庫)

海辺の生と死 (中公文庫)