出陣の賦

FOR THE SOPHISCATED PEOPLE

向田邦子「森繁の重役読本(文春文庫)」

去年の今ごろ満島ひかりちゃんが主演したドラマ「トットてれび」、ありゃー名作だった。トットちゃんこと黒柳徹子に扮したのがハマり過ぎて、なんというか常識がちょっと人からズレてそうな辺りが共通してるからなんだべなと思ったんだけど。どうか?

 

各回とも最後がミュージカルシーン。さっすが満島ひかりちゃん沖縄アクターズスクールスクール出身、歌って踊れてて。観てて楽しかった。

 

ドラマ内で森繁久彌吉田鋼太郎)が主演するラジオドラマの脚本を向田邦子ミムラ)が担当しているシーンがあって。調べてみたら、当時の番組の台本が文庫化されてたから入手して積ん読。一年経った今ごろ読んでみたら、一気読破してしまった。もともと、森繁のミニドラマかつ出演者もナレーションも全部森繁が担当。昭和40年代のとある大企業の重役氏のボヤきたらなんたら、軽妙に繰り広げられるのが素敵。

 

にしても、向田邦子氏。こうやって一冊読むの初めてだった。正直、「毎年お盆になるとTBS系列で久世光彦氏プロデュースで終戦ものの特別ドラマガー」の人ってイメージだったけど。こういう人だったんだな。

 

乱暴に片づけると「サザエさん」のような「偉大なるマンネリ進行」なんだけど、読んでいるとココは「阿修羅のごとく」ココは「父の詫び状」と後の向田氏の代表作のエッセンスがポツポツ出かけている。そんな本作品、当時は放送局でもシナリオを保管する風習がないうえ。当の本人・向田氏も自分が書いたモンに対して執着心がなくて、2448回分あった台本が散逸しかけたところ、主演・森繁の資料室(!)からほぼ全作揃っていたのが見つかって。それがまわりまわって、こうして文庫本でお安く買えて容易く読めてる訳なんですよ奥さん!こげな出版文化、もうちょっと続きますように。

 

したっけね。

 

 

新装版 森繁の重役読本 (文春文庫)

新装版 森繁の重役読本 (文春文庫)