出陣の賦

FOR THE SOPHISCATED PEOPLE

Scent of Woman

明日、友の葬儀に向かう。

今日は仕事の後に実家に前のりして、もう会えなくなった人々について思いを馳せていた。

 

その昔、こんな事があった。

職場で同僚のコから、ストーカー被害の相談をされた事があって。なんでも、駐車場で待ち伏せされる事が二度三度で困っているんだと。そりゃ、彼女は典型的な不幸顔美人で。日照が少ない土地ゆえの色白、早い話がおっさん受けしそうな子だったけど。こんなの、地元じゃ量産型だった。なんでこのコが?

 

適当な 相づちに終始して、「何かあったら、ご連絡くださいね。」ということになった去り際。気づいてしまった。

 

い・い・か・お・り・が・す・る!

 

去り際に、ふわっと薫る残り香が甘くて華やか。もちろん香水とかみたいな押しつけではなく、自然なのに絶妙に押し出してくる感じ。周りの女には、こんなコいなかった。ハマった。あの残り香をボンベに詰めて、一生吸っていたかった。

 

末期には、一日中頭の中があの香りのことばか り。当時、「これなんかのフェロモンなのか?」とまで思っていた。はっきり言ってオレがストーカーになる一歩手前だったが、幕切れがあっけなかった。

 

彼女、持病がひどくなったとかで休みがちになり。有給休暇を使い果たして退職した。通勤する機会もなくなったから、ストーカー被害に遭うこともなくなっただろう。

 

でだ。今だったら言える。

あの香り、持病ゆえだったんだな。ほれ、「結核にかかると雰囲気美人になれる」的なやつ。なんで気づかなかったんだろう、ヒントはいく らでもあったのに。ほんと、甘かった。

 

あーあ、あの子今どこで何してるんだろう? ただいま、追憶強化週間の真っ最中なのだった。したっけね。